入社前に知っておきたい日本企業独自の4つの雇用慣行

日本企業への就職を考えている皆さんの中には、日本企業はどのような文化を持っているのか気になっている方も多いのではないでしょうか?日本企業は海外の企業と異なり、独自の雇用慣行を持っています。入社後のギャップに悩まされることがないよう、しっかりと日本企業の文化を理解しておきましょう。

日本企業の雇用慣行

日本企業に特有の雇用慣行として挙げられるのが、下記の4つです。

  1. 新卒一括・ポテンシャル採用
  2. ジョブ・ローテーション
  3. 年功序列
  4. 終身雇用

1. 新卒一括・ポテンシャル採用

日本企業の多くが、大学や大学院、専門学校を卒業した学生を一括採用する「新卒採用」を実施しています。大手企業では新卒採用で数百名から数千名を一気に採用するところもあります。一般的には4月に新入社員として一緒に入社し、同じタイミングで入社した仲間は「同期」と呼ばれ、入社後の研修も一緒に受けることになります。入社後に違う部署に配属され、バラバラになったあとも独自のつながりを持つケースが多くなります。

また、新卒採用においては職種別の採用は行われず、スキルや経験よりもポテンシャルを重視する「ポテンシャル採用」が行われています。日本企業は入社後に手厚い研修があるのが一般的で、大手企業では入社後1か月間はまるまる研修というケースも珍しくありません。日本企業にはそれだけしっかりと教育投資を行う環境が整っているからこそポテンシャル採用ができるという側面もありますが、入社したらすぐにバリバリと働きたいという方にとってはこの最初の研修期間が退屈に感じるかもしれません。

2. ジョブ・ローテーション

日本企業では新卒採用時に職種別の採用を行わず、入社後は数年おきに複数の部署を異動させる「ジョブ・ローテーション」という文化があります。例えば、最初は営業部に配属された後、その次に商品開発部に行き、次に人事部に行くといった具合です。

ジョブ・ローテーションによりその会社の様々な部署の仕事を体験することで、会社の事業全体に対する理解が高まるだけではなく、様々な部署の人との社内ネットワークもでき、より仕事がしやすくなります。

一方で、ジョブ・ローテーションを繰り返しているとなかなか一つの仕事で長年の経験を積むことができず、特定のスキルや専門性を身につけることは難しくなります。これは、言い換えれば特定のスキルを活かした転職が難しくなるという意味でもあり、企業の立場からするとジョブ・ローテーションはなるべく離職を減らして定着率を高め、長く働いてもらうことで人材への教育投資をしっかり回収するという目的もあります。

3. 年功序列

海外の企業では、年齢に関係なくスキルや成果に応じてポジションや報酬が決まる成果主義的な人事制度が一般的ですが、日本企業の人事評価は、入社年次に応じて段階的に役職や報酬が上がっていく「年功序列」という人事制度が一般的です。

実力や成果に関わらず、同期で入社した人たちの給料は横並びなので、やる気が削がれてしまうというデメリットはあるものの、長く会社に勤め続けていれば着実に給料も役職もアップしていくという安心感はあります。

しかし、最近では経済環境の変化に伴いこうした年功序列の人事制度を廃止し、より成果主義に基づいた人事制度へと切り替える企業も増えてきています。設立間もないスタートアップ企業などでは当然ながらこうした文化はありません。

4. 終身雇用・定年制

日本企業では、一度就職をすると、定年するまで一つの企業で勤め続ける「終身雇用」という文化が存在しています。しかし、さすがに高齢により仕事ができなくなると企業としても雇い続けることが難しくなるため、多くの企業には退職する年齢を事前に定めておく「定年制」というルールを用意しています。一般的に、定年は60歳、65歳などとなっています。

また、最近では新卒で入社した企業から転職することは一般的になってきており、20代であれば1回から2回、30歳であれば3回程度の転職を経験している人は珍しくありません。一部の大企業を除けば、日本においても終身雇用という文化は実質的になくなってきていると言えます。

まとめ

いかがでしょうか?ここでは日本企業に特有の4つの雇用慣行をご紹介しましたが、経済環境の変化に伴い、最近は日本企業も変わりつつあります。新卒採用だけではなく中途採用を積極的に行っている大企業も増えてきていますし、職種別採用を実施している企業もあります。また、成果主義でより自由な働き方ができるスタートアップ企業なども就職先として人気を集めていますし、複数回の転職も当たり前になってきています。その意味で、かつての日本型の雇用慣行は徐々に崩れつつあり、日本の就職市場はよりグローバルな雇用慣行に近づいてきていると言えるでしょう。

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