在留資格の変更手続き

外国人留学生の皆さんが無事に就職活動に成功し、日本で働き始める場合には、現在の在留資格である「留学」を、就労可能な在留資格に変更する必要があります。そこで、ここでは就職にあたって必要となる在留資格の変更手続きについて詳しくご紹介します。

日本で就労可能な在留資格

そもそも、日本で働くためにはどのような在留資格が必要なのでしょうか?日本で就労可能な在留資格は、大きく下記の2つに分類することができます。

  1. 職種や業種を問わず就労可能な在留資格
  2. 一定の範囲内の職種や業種、勤務内容に限って就労可能な在留資格

職種や業種を問わず就労可能な在留資格

職種や業種を問わずに就労可能な在留資格としては「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」が挙げられます。

一定の範囲内の職種や業種、勤務内容に限って就労可能な在留資格

一定の範囲内において就労可能な在留資格としては、「高度専門職」「教授」「芸術」「宗教」「報道」「経理・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「興行」「技能」「介護」が挙げられます。

「高度専門職」は、学歴や職歴・年収などのポイントが一定基準に達した人のみが対象となっています。なお、就職を目的とする在留資格の変更が許可された外国人留学生のうち、実に約9割が「技術・人文知識・国際業務」となっています。

※日本政府は2019年4月から新たに在留資格を創設予定となっており、さらに就労しやすい環境が整っていくことが予想されます。

外国人留学生の9割が変更する「技術・人文知識・国際業務」とは?

日本で就職する外国人留学生のほとんどが対象となる在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは、どのような在留資格なのでしょうか?

この在留資格において許可されている活動内容は、社会科学も含む人文科学や、理学、工学、自然科学の分野における技術や知識を必要とする業務、または外国の文化を基盤とする思考や感受性を必要とする業務となっています。具体的には、経理、財務、総務、人事、法務、企画、商品開発、デザイン、マーケティング、広報、宣伝、通訳、翻訳、語学指導、生産技術、研究開発、エンジニア、プログラマー、建築設計、システム管理などの仕事が挙げられます。

企業に就職する場合はほとんどのケースで業務内容が上記のいずれかに該当するため、基本的には「留学」から「技術・人文知識・国際業務」へと在留資格を変更するのが一般的となっています。

ここでのポイントは、在留資格の変更が許可されるためには、大学や専門学校などで専攻した科目が、就職後に従事する業務に必要となる知識や技術に関連しているかが問われるという点です。そのため、学校で学んできた内容と全く関係がない仕事に就くことは難しくなっています。

ただし、大学を卒業した場合、母国語の翻訳・通訳・語学指導については大学の専攻に関係なく従事することができるほか、コンピューター技術関連の仕事については、国が定めた情報処理技術の試験に合格するか資格を保有していれば、大学や専門学校の専攻に関係なく就職することができます。

在留資格変更の審査のポイント

在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に変更する際の審査では、どのような点が見られるのでしょうか?入国管理局が定めている変更許可のガイドラインに基づいて、ポイントをまとめました。

  1. 日本国内の公私の機関との契約に基づくものであること
  2. 自然科学・人文科学の分野に属する技術や知識が必要な仕事であること
  3. 大学・専門学校で従事する業務に関連する科目を専攻していること
  4. 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
  5. 素行が不良でないこと
  6. 入管法で定められた届出などの義務を履行していること
  7. 雇用企業の安定性・継続性

日本国内の公私の機関との契約に基づくものであること

公私の機関には、国や地方公共団体、独立行政法人、会社、公益法人などの法人に加えて、任意団体も含まれます。また、日本国内に事務所や事業所を持つ外国の国や地方公共団体、法人なども含まれ、雇用主が個人であっても、日本国内で事務所や事業所などを有する場合には含まれます。なお、「契約」については雇用契約以外にも業務委託なども含まれますが、特定の機関との継続的なものである必要があり、短期の委託などは対象外となります。

自然科学・人文科学の分野に属する技術や知識が必要な仕事であること

「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務内容である必要があります。しかし、たとえば入社の当初に行われる研修の一環として「技術・人文知識・国際業務」以外の業務に従事する場合、在留資格変更許可申請の際に具体的な研修計画なども併せて提出することで変更が認められることがあります。具体的には、ホテルに就職する場合、入社時の研修としてレストランの配膳や客室清掃などに従事するケースです。逆に、これらの業務を研修期間ではなく長期にわたって行う場合には、変更は許可されません。

大学・専門学校で従事する業務に関連する科目を専攻していること

就職後に従事する業務が、大学や専門学校で専攻した科目と関連しているかどうかも見られます。ただし、専門学校は特定の職業に必要なスキルを身につけることを目的としているのに対し、大学は一般教養も含めてより幅広い知識を授ける場と定義されていることから、大学卒業者については、大学の専攻科目と就職後の業務内容との関連性についてはより柔軟に判断してもらえます。

日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること

日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることも、変更許可のポイントとなります。この際の「報酬」には、通勤手当や扶養手当、住宅手当などは含まれず、あくまで業務の対価として得られる給与のことを指しています。

素行が不良でないこと

在留資格の変更に当たっては素行が良いことが前提となっており、素行が悪い場合には消極的な要素として評価をされてしまうため、注意が必要です。

入管法で定められた届出などの義務を履行していること

在留カードの記載事項に係る届出、在留カードの有効期間更新申請、紛失などによる在留カードの再交付申請、在留カードの返納、所属機関等に関する届出などの義務をしっかりと履行していることも必要となります。

雇用企業の安定性・継続性

なお、在留資格の変更にあたっては、外国人留学生だけではなく、就職先となる企業についても審査されます。前述のように日本人と同等以上の給与を提示するかに加えて、外国人留学生の雇用を長期にわたって保証できるだけの安定性や継続性を有しているか、なども見られることになります。そのため、外国人を受け入れるのが初めてという企業に就職を希望する場合には、その企業が在留資格変更の要件を満たしているかどうかをしっかりと吟味する必要があると言えます。

(※参考:留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン

在留資格を変更する際の注意点

在留資格を変更する際の注意点としては、下記が挙げられます。

  1. 申請に必要な書類は早めに揃える
  2. 審査には申請から1~3ヶ月程度かかるため、早めに申請する
  3. 原則として本人が申請する
  4. 在留期間が残っていれば再申請は可能

在留資格の変更にあたっては、就職先の企業に準備してもらわなければならない書類もあるため、早めに用意することが重要です。また、在留資格変更の審査には申請から1~3ヶ月程度かかります。原則として、4月入社に向けて卒業年の1月から受付がはじまります。(東京入国管理局・大阪入国管理局は12月)。書類に不備があると再申請となり、入社日に間に合わなくなってしまう可能性があるため、できる限り早めの申請を心がけましょう。

在留資格を変更に必要な書類

在留資格「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に変更する際に必要な書類の一覧については、下記の法務省のページを参考にしてください。

法務省:技術・人文知識・国際業務

「外国人留学生のための就職活動ガイド」の一覧を見る