勤務先から給与を支給されたときに渡される「給与明細」にはさまざまな項目があります。しかし、見方や内容が分からず、実際の手取り金額しか確認していない人も多いのではないでしょうか。そこで今回の記事では、日本の給与明細の見方を解説していきます。自分が損をしないためにも、給与明細の正しい見方について理解しておきましょう。
1.給与明細とは
給与明細は、給与の支給額(しきゅうがく)や控除額(こうじょがく)、納税額(のうぜいがく)などが記載されている書類です。一般的には、給料日前に雇用主から渡されることが多く、紙の給与明細またはパソコンなどで確認できる、電子化された給与明細があります。
日本では、従業員本人が納めなければならない保険料や税金などを、会社が給与から天引することで、従業員の代わりに納めています。給与から保険料や税金を天引きするのは、お金を使いすぎてしまった、税金を納め忘れたなど、後になって困らないようにするための仕組みと覚えておきましょう。毎月の給与から必要な金額をあらかじめ差し引いておくことで、確定申告や住民税などの納付手続きを自分で行う必要がなくなります。
1-1.給与明細を受け取ったら
給与明細は、基本的に会社が計算した正しい給与額が記載されていますが、まれに間違っている場合もあるかもしれません。残業時間が間違っていないか、資格手当が付いているかどうかなど、出勤時間や手当、控除額などに誤りがなく、正しい金額が支払われているかを毎月の給与明細で必ず確認するようにしましょう。もし、分からない項目や間違っている可能性がある場合は、会社にその旨を伝えると対処してもらえます。誤りがあれば早めに会社に連絡することが重要です。
1-2.給与明細の保管について
受け取った給与明細の取り扱いについては、特に規定はなく保管義務もありません。しかし、給与明細は、収入や納税の証明などに利用することができるため、給与明細を最低2年間は保管しておくことを心がけましょう。給与の未払いがあった場合は、2年前までさかのぼって請求が可能で、転職や退職の際に必要な雇用保険の申請も2年が時効とされています。給与明細の保管は、自分の給料や納税などのデータを保管することと同じだと捉えておくとよいでしょう。
2.給与明細の3項目
2-1.勤怠についての項目
- 就業日数(しゅうぎょうにっすう):会社から定められた該当月の就業日数
- 出勤日数(しゅっきんにっすう):該当月の出勤日数
- 労働時間(ろうどうじかん):該当月に労働をした時間
- 欠勤日数(けっきんにっすう):該当月の欠勤日数
- 休日出勤日数(きゅうじつしゅっきんにっすう):労働基準法で定められた法定休日(毎週少なくとも一回の休日)における出勤日数
- 有給消化日数(ゆうきゅうしょうかにっすう):有給休暇を取得した日数
- 平日普通残業(へいじつふつうざんぎょう):雇用契約における労働時間を超える時間外労働
- 平日深夜残業(へいじつしんやざんぎょう):22時〜翌5時までの間の労働時間
- 休日労働時間(きゅうじつろうどうじかん):労働基準法第35条に規定される法定休日における時間外労働
- 遅刻早退時間(ちこくそうたいじかん):該当月の遅刻回数
- 有給残日数(ゆうきゅうざんにっすう):該当月の締め日における有給休暇の残日数
2-2.支給についての項目
- 基本給(きほんきゅう):会社から支払われる給与のベースとなる金額
- 役職手当(やくしょくてあて):役職に応じて支給額が変動する手当
- 資格手当(しかくてあて):従業員が資格を取得しようとした場合や、取得した場合に支払われる手当
- 住宅手当(じゅうたくてあて):会社が従業員の家賃やローンを一部負担する手当
- 家族手当(かぞくてあて):配偶者や子供がいる家庭に企業が一定額支給する手当
- 通勤手当(つうきんてあて):通勤する際に発生する交通費に対する手当
- 残業手当(ざんぎょうてあて):雇用契約で定められた勤務時間以外の時間外労働に対する手当
- 深夜勤務手当(しんやきんむてあて):22時~翌5時までの間に労働した人に支払う手当
- 法定休日手当(ほうていきゅうじつてあて):労働基準法で定められた法定休日(毎週少なくとも一回の休日)に出勤した場合の特別手当
2-3.控除についての項目
- 雇用保険料(こようほけんりょう):失業給付や育児休業給付などを受けるための保険の掛け金
- 社会保険料(しゃかいほけんりょう):健康保険料や厚生年金保険料、厚生年金基金、介護保険料などの公的な保険の掛け金
- 所得税(しょとくぜい):その年の給与に応じて納める税金
- 住民税(じゅうみんぜい):前年の収入に対して発生する地方税
- 共済費(きょうさいひ):給料から毎月積み立て、社員旅行やレクリエーション費用に充てることを目的とした費用
3.まとめ
給与は、自分の頑張りが数字として反映される大切なお金です。給与の支払いにミスがあってはなりませんが、人の手で処理されているため、100%ミスがないとは言い切れません。給与明細は、収入や納税額を確定するための証拠になる書類です。給与明細をもらったらそのままにせず、必ず毎月確認するようにしましょう。
仕事を探す方法の一覧を見る
jopus編集部
最新記事 by jopus編集部 (全て見る)
- 【大阪府 】貿易企業の法人営業 - 2021年11月18日
- 【参加者募集】スキルアップAI、23卒の学生を対象にAIエンジニアになるための長期インターンプログラムを開催 - 2021年11月11日
- 【東京】インハウスWEBデザイナー - 2021年11月5日