現在日本では、IT業界での人手不足が深刻化しており、外国人エンジニアの需要が高まっています。その一方で、外国人のニーズに合う給料を提供できているのかは、会社ごとにかなり幅があるようです。今回は、日本でのITエンジニアの平均年収や給料レンジについて説明します。日本でエンジニアを希望している外国人の皆さんはぜひ参考にしてみてください。
- 日本のエンジニア給与
- 世界92の国で比べると18位
- 給与の伸び率が低い理由
- 日本のエンジニアのポジション別の給与
- まとめ
1.日本のエンジニア給与
世界92の国で比べると18位
ヒューマンリソシア社の調査によると、世界のIT技術者の給与ランキングにおいて、日本は92カ国中18位(42,464USドル=約430万)となっています。一見高い順位のように見えますが、給与はアメリカの約1/2(83389ドル)となっており、ヨーロッパの国と比べても安い結果となりました。
また、IT技術者の給与の伸び率が最も高かったのはタイで、年38.3%も上昇しています。第2位は世界で最もIT技術者が増えている北ヨーロッパのラトビアで、同26.4%の伸び率となっています。第3位には、情報通信業就業者の給与で4位となったカタールが、同25.1%の伸びでランクインしています。日本のIT技術者の給与は5.9%の伸び率で、第20位となりました。米国やヨーロッパ諸国と比べてIT技術者の給与が低いことを考えると、十分な伸び率とは言い難いでしょう。
給与の伸び率が低い理由
(1)日本のIT化の遅れ
日本では、生産性の増加を掲げ、国を挙げたIT化、デジタル化に取り組んでいるものの、未だ導入があまり進んでいません。「効率化のためIT投資をしない」、「システム化しても生産性が上がらない」とIT化に否定的な企業が依然として多くあるようです。このような事情で投資や導入が思うように進まず、市場が未熟であることから、IT人材のベース給与も低いようです。
(2)日本のIT業界の構造
日本のIT業界は受託開発が多いため、それに伴い下請けの零細企業が多くあります。「多重下請け構造」と呼ばれ、受託システム開発において、発注者から直接仕事を請け負った大手の元請が、請けた仕事を切り出して2次請け、3次請けと仕事を下ろしていくピラミッド構造が特徴です。中間業者が数多く入るため、下の層にいくほど現場で働くエンジニアの給与が低くなります。
(3)日本の年功序列型
成果主義が導入されているアメリカやインドでは30代で年収水準のピークを迎えますが、日系企業での給与体系は未だ年功序列型を取り入れている企業が多いようです。同じ企業に長く勤めないと、ハイレベルな人材でも高い給与が支給されることは少ないようです。国内の他の産業と比べて実力主義な印象があるIT業界ですが、実際は年功序列による評価が根強く残っています。
2.日本のエンジニアのポジション別の給与
日本では、学校や大学でIT関連を専攻していなくてもITエンジニアに就職することが可能です。そのため、未経験者と経験者の幅が特に広い業界と言えるでしょう。しかし、外国人が日本でITエンジニアとして働くには、就労ビザを取得する必要があります。
dodaの平均年収ランキングによると、日本でのIT系全体での平均年収は、452万円です。他国と同じようにITコンサルタントやPM(プロジェクトマネージャー)は平均年収が高く、534万円~664万円となっています。
SE・プログラマ、ネットワークエンジニア、サーバーエンジニアは、レベルの幅が広いため、給与レンジの幅も広い傾向にあります。これらの平均年収は、417万円~463万円ですが、メンバーレベルによって年収800万円程度支給する企業もあるようです。
一方、テクニカルサポートは未経験でのスタートが多いため、他の職種に比べて少し下がり、平均年収は409万円となっています。
3.まとめ
現在は欧米に比べるとIT業界の年収は低い傾向にありますが、成長産業であること、人手不足のため人材ニーズが高まっていることなどから、IT業界は全体的に給与が伸びていくことが予想されます。
また、自社サービスを開発する企業では、欧米のようにITエンジニアの価値を理解し、ハイレベルな人材に高い給与を支払うことが一般的です。日本のIT業界では、企業や仕事内容により、大きな給料の幅があるため、納得する給与が支給されるかよく考慮した上で就職先を検討しましょう。
【参考サイト】doda|平均年収ランキング 最新版
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