近年、日本ではITエンジニア不足が深刻化しており、経験者だけでなく、外国人留学生や海外での大学卒業予定者を対象とした新卒採用に力を入れる企業も増えています。しかし、外国人エンジニアが日本企業で働くにあたり、日本語について不安に感じている人も多いのではないでしょうか。今回は、日本のIT業界で求められる日本語レベルについて紹介します。
- 日本企業がITエンジニアに日本語を求める理由
- 外国語を話せる社員がいない
- 社外とのコミュニケーションが必要
- 求められる日本語レベル
- ネイティブレベル
- ビジネスレベル
- 日常会話レベル
- 日本語不要
- まとめ
1.日本企業がITエンジニアに日本語を求める理由
外国語を話せる社員がいない
日本人はアジア圏の中でも英語力が低く、英語を話せる人が少ないのが現状です。国際語学教育機関「EFエデュケーション・ファースト」の2019年調査によると、英語を母語としない100カ国・地域のうち、日本人の英語力は53位となり、5段階中4番目となる「低い能力レベル」と認定されました。
社外とのコミュニケーションが必要
業務を行う上で、クライアントから意見を聞くことや、質問に答えること、報告することなど、直接やり取りをする場合もあります。また、クライアントと普段からコミュニケーションを取ることで、相手の要望を的確に汲み取ることができ、より良い仕事にもつながるでしょう。
2.求められる日本語レベル
多くの日本企業では、社内のメンバーとミュニケーションが流暢にできる日本語レベルを求めています。応募条件には、「日本語の能力試験(JLPT) N2以上」などと指定している場合や、資格の有無は関係なく「流暢に話せるレベル」と記載がある場合など様々です。
メンバーとスムーズに会話ができること、業務上必要な指示書などの日本語が読めること、チャットを日本語で使えることは、多くの日本のIT企業で働くために必要な日本語スキルです。
外資系企業や外国籍エンジニアが多くいる企業では、日本語レベルを問わない企業もありますが、その場合ほとんどがハイレベルなエンジニアスキルを求めています。そのため、新卒やエンジニア経験が浅い外国人は、まず日本語のレベルアップに努めると応募できる企業の幅も広がります。また、JLPTの資格を持っていることは就職活動において強みとなります。JLPTの資格はないものの、相当の日本語コミュニケーションが取れる場合は、履歴書や職務経歴書を日本人の同僚などにチェックをしてもらうと良いでしょう。
ネイティブレベル
ネイティブレベルの日本語を求める企業では、JLPT N1レベル相当の日本語力が必要です。業務のポジションは、プロジェクトマネージャーやマネジメントなどが想定されます。日本人メンバーのマネジメントや、クライアントなど社外とのやり取りをする必要があるため、流暢な日本語レベルが求められるでしょう。
ビジネスレベル
ビジネスレベルの日本語を求める企業では、JLPT N2レベル相当の日本語力が必要となります。エンジニア全般の仕事や、ブリッジエンジニアのポジションが想定されます。
日本本社のことを理解し、ブリッジ先に伝える必要があるほか、日本では多くの会社で外国人スタッフが少なく、日本語を共通言語として指示書の記述や仕事を行うため、日本語の読解力も必須となります。SES(System Engineering Service)などで常駐先が日系企業の場合も、ビジネスレベルの日本語力が必要となるでしょう。
日常会話レベル
日常会話レベルの日本語を求める企業では、JLPT N3レベル相当の日本語力が求められています。外国人が複数在籍し、チームは外国語でコミュニケーションを取っている会社での求人が多く、エンジニア全般の仕事を行うことが多いでしょう。求められる日本語スキルが低い分、エンジニアとしてのスキルが求められます。
日本語不要
外資系企業、または外国人エンジニアのチームで成り立つような、共通言語が外国語の会社では、日本語が不要の場合があります。代表的な企業として、楽天、メルカリなどがありますが、日本ではそのような企業はごくわずかと言えるでしょう。また、高いエンジニアスキルを求める場合が多いようです。
3.まとめ
インターンなどで開発経験のない学生や、ITエンジニア未経験の場合は、まず日本語の読み書きができるレべルを目指すと良いでしょう。JLPTの資格は必須ではありませんが、実際には書類審査の際にJLPTで日本語スキルを評価する会社が多いため、取得していると採用につながる可能性が高くなります。ITエンジニアであればJLPT N2があれば十分と言えるでしょう。日本の大学などに通っている学生であればJLPT N1を取ることが理想的です。就職活動前に企業の情報収集を行い、自分の日本語レベルやエンジニアスキルに合う仕事を探しましょう。