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採用選考で応募者の40%が学歴、28%が性別による差別を実感。連合調べ

職業安定法では、採用選考において、応募者の人権を尊重すること、適性や能力のみを基準として行うことが原則とされています。そのため、企業側が適性や能力に関係のない情報を集めたり、質問することは認められていません。

この実態調査のため、日本労働組合総連合会(連合)は「就職差別に関する調査」を実施し、5月15日に結果を公表しました。調査対象は、最近3年以内に新卒採用試験もしくは中途採用試験を受けた、全国の18歳から29歳の男女1,000名です。

調査結果によると、就活で学歴を重視する「学歴フィルターを感じたことがある」方は40%、「就活で男女差別を感じたことがある」方は28%でした。「学歴フィルター」とは、応募者を出身学校名によってふり分け、採用選考の対象かを決めることです。

調査内容を詳しくみていくと、まず、最終学歴が高校卒業の32.2%、大卒者や専門学校卒などの58.0%が「採用選考で会社独自の履歴書を提出するように求められた」と答えました。高等学校卒の採用試験では「全国高等学校統一用紙」の使用が定められており、大学卒等の採用試験では「JIS規格の様式例に基づいた履歴書」を使用することが推奨されています。

就職差別に関する調査2019 図1 就職差別に関する調査2019 図2

提出書類についての質問では、通常は認められていない「採用選考で戸籍謄(抄)本の提出を求められた」方が19.4%、「採用選考で健康診断書の提出を求められた」方が48.6%いました。

就職差別に関する調査2019 図3

応募書類やエントリーシートの記入内容についての質問では、91.2%が「性別」、56.4%が「本籍地や出生地」の記入を求められたと答えました。そのほか、35.9%が「家族構成」、21.8%が「住居や資産状況」、19.9%が「自宅付近の地図や居住環境」、15.8%が「家族の職業・収入」、12.3%が「尊敬する人物」、4.0%が「支持政党」、3.6%が「宗教」の記入を求められていたことがわかりました。これらの内容は、すべて応募者の適性に関係がない個人情報なので、採用活動時には集めてはならない情報です。

就職差別に関する調査2019 図4

続いて、採用試験の面接で聞かれたことについて、もっとも割合が高かったのは「転勤ができるかどうか」の42.3%でした。次いで「家族構成」が39.1%、「残業や休日出勤ができるかどうか」が34.7%、「本籍地や出生地」が31.6%、「性別」と「尊敬する人物」は18.9%の同数でした。

就職差別に関する調査2019 図5

そのほか、16.5%が「婚姻状況(未婚・既婚)」、14.2%が「結婚後や出産後の継続就労希望の有無」、11.5%が「結婚の予定」など、結婚や出産に関する内容を聞かれたという人もみられました。また、3.3%が「性自認への違和感の有無」、3.1%が「性的指向の確認」、2.9%が「支持政党」、2.7%が「宗教」といった内容を聞かれていました。提出書類と同じく、面接でも適性や能力に関係のない質問をしないよう注意すべきとされていますが、ただしく認識していない事業者は少なくないようです。

次は、回答者の認知についての質問です。すべての回答者に複数の内容を提示し、面接官が聞いてはいけないと質問だと思うものを聞きました。すると「宗教」が66.5%ともっとも多く、「支持政党」が61.9%、「家族の職業・収入」が52.6%と続きました。もっとも低かったのは「尊敬する人物」の12.9%でした。提示した内容はすべて面接官が聞いてはならない質問ですが、認識率に差がありました。

就職差別に関する調査2019 図6

さらに、面接官が聞いてはいけない質問を1つでも知っていると答えた842名に、どのようにして知ったかを聞くと、もっとも高かったのは35.0%の「インターネットでみた」、そして29.9%の「学校で教えてもらった」、16.9%の「テレビでみた」と続きました。

就職差別に関する調査2019 図7

また、採用試験の面接で、不適切だと思う質問や発言をされたことが「ある」と回答した人は14.5%いました。具体的に、「女性だから出産や育児で辞めるだろう」「恋人はいる?どのくらいいない?」など、恋愛・結婚に関する内容が多く挙がりました。「家族の職業を聞かれ、家族とまったく違う業種なのに、なぜうちを受けたのか」といった家族に関する内容や、「身長が低い」「太ってる」など外見に関する内容も多くみられました。適性や能力に関係ないだけでなく、明らかな差別発言が行われている例があるようです。

就職差別に関する調査2019 図8 就職差別に関する調査2019 図9

不適切だと思う質問や発言をされたことがある人145名に、どの業種の採用試験を受けているときか聞いたところ、「サービス・一般(外食、観光、ホテル、その他)」が17.9%ともっとも多く、「製造業・金属(鉄鋼、造船、自動車、非鉄、金属機械、一般機械、電機機械、輸送機械、精密機械)」が16.6%、「金融・保険・不動産」が13.1%と続きました。

就職差別に関する調査2019 図10

就職活動全般の質問では、40.2%の人が「就活で学歴フィルターを感じたことがある」と答えました。「ある」と回答した人の男女の割合をみると、男性44.4%、女性36.0%でした。最終学歴別にみると、「ある」と回答した人のうち25.2%が高等学校、18.9%が専門学校・短期大学、46.4%が四年制大学・大学院でした。最終学歴が大学・大学院の人は、学校名が採用に影響していると感じた人が多いようです。

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そして、28.3%が「就活で男女差別を感じたことがある」と答えました。男女差別を感じたことがあると答えた283名に内容を聞くと、「採用予定人数が男女で異なっていた」が43.8%ともっとも多く、「男女で採用職種が異なっていた(男性は総合職、女性は一般職など)」が42.4%、「男性のみ、または女性のみの募集だった」が39.9%という結果になりました。男女雇用機会均等法によって、労働者の募集と採用にかかわる性別差別は禁止されていますが、募集条件で差を感じた経験がある人は少なくないようです。

就職差別に関する調査2019 図12 就職差別に関する調査2019 図13

採用選考は、応募者が企業を見きわめる場でもあります。就職活動中の方は今回の調査結果を参考に、採用担当者が適切に対応してくれているかどうかを確認しながら、就職活動にのぞんではいかがでしょうか。

この調査は、2019年4月5日から10日の6日間、インターネットリサーチにより実施されました。

【関連ページ】採用・選考時のルール|厚生労働省

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jopus編集部

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