日本語学校や日本の大学を卒業後、「日本で就職したい!」と思う外国人が近年増加しています。ですが、外国籍の方が日本で働くには「就労ビザ」を取得する必要があります。その就労ビザを取得する際に心強い味方となるのが行政書士の先生です。
今回は、行政書士法人に中途採用で入社され、現在通訳として活躍されている日本リーディング行政書士法人(以下、日本リーディング) 田 婉伶さんにインタビューしました!
日本リーディング行政書士法人 日中英通訳 田 婉伶(でん わんれい)さん
台湾出身。輔仁大学日本語学科卒業。大学にて日本語を学び、大学3年時に交換留学制度を活用してフェリス女学院大学に一年間交換留学。在学中に日本企業に就職が決まり、ビザ取得後に来日。日本リーディングには中途採用で入社し、現在は日本語・中国語・英語の語学力を活かし、顧客の通訳やビザ取得に必要な書類作成などを担っている。
Q.どうして日本での就職を希望されたのでしょうか?
私は台湾の大学で日本語学科を専攻していて、大学の講義で日本語を学び始めました。テキストで学ぶのではなく、もっと日常的に日本語を使っていけば学ぶことが多いだろうと考えて、大学3年生の時に交換留学制度を使って1年間フェリス女学院大学に留学していました。日本での生活はとても楽しく留学の1年だと短く感じました。日本にもっと住みたいという思いが強くなり、日本で就職することにしました。
Q.日本での生活はいかがでしたか?
留学中に友達もたくさんできましたし、日本人はみんな優しくて、困った時も色々とアドバイスをくれて助けてくれました。また住環境としても、私は台湾よりも日本の生活の方が気に入りました!
Q.大学在学中の就職活動について教えていただけますか?
大学3年生の時、日本の企業が台湾で採用活動をされていて、社長の面接を受けて就職が決まりました。日本で働くにあたり就労ビザが必要だったので申請したのですが、就労ビザが下りるまで5ヶ月程かかりました。ビザが取得できるまでの期間は台湾で過ごし、取得後に日本にやって来ました。
Q.日本で仕事をすることに不安はなかったのでしょうか?
仕事をするにあたり、自分の日本語レベルできちんとコミュニケーションが取れるのかは正直不安でした。でも、日本人社員の皆さんは私に話しかける時は簡単な日本語を使って話してくれるので、コミュニケーションにそれほど困ることなく仕事をすることができました。
また、私自身、もっと難しい日本語を理解できるように努力しようと前向きに考えていたので、それほど不安にならずにいられたと思います。日本語は日常的に話さないと上達しないので、日本で仕事ができて良かったです。
Q.日本の生活で困ることはありますか?
台湾と比べて家賃が高いなどと物価の違いを感じることはありますが、特に困っていることはありません。日本の生活に何か違和感を感じたとしても、私の性格上、「こういうものなのかな」と受け入れてしまうので。交換留学時代の友達もいますし、その友達から別の友達を紹介してもらうなど、日本での新しい交友関係も広がってきています。困ることよりも楽しいと感じることの方がずっと多いですね!
Q.今の会社には転職でご入社されたそうですが、転職活動はスムーズでしたか?
そうですね。転職活動を始めてから2週間くらいで決まったのでスムーズだったと思います。
前職は営業職についていたのですが、お客様の中に外国人の方がいても、私の仕事内容では外国人の方を担当することができなくて、仕事を続けているうちに「自分の語学力をもっと活かせる仕事がしたい」と思うようになったんです。「中国語・英語を活かせる仕事」に絞って転職活動をしていたので、転職の目的をしっかり定められていたのが転職先決定のスピードにつながったのではないかと思います。
Q.現在はどんな仕事を担当していますか?
ビザ申請の仕事のうち、ビザ認定やビザ更新の申請など書類の入力をメインに担当しています。他には書類の翻訳や面談に同席してお客様の通訳もしています。書類の内容は難しいので最初は分からないことも多かったのですが、必要な情報や記入項目など、いつも入力する形式は同じなので、以前に比べると慣れてきました。
Q. 法律関連は難しい単語も多いと思いますが、どのように勉強されていますか?
とても単純な方法なのですが、先輩や先生に相談して分からないことがあればすぐに意味を調べるようにしています。また、仕事中の会話の中でも先輩達が普通に使っている言葉で「これは覚えておいた方がいいのかな」と感じる言葉があれば、すぐにメモして調べるよう心がけています。例えば「法定調書(ほうていちょうしょ)」とか。全く意味が分からない難しい単語だったので、すぐに漢字や意味を調べたことを覚えています。
Q.社内の会話は日本語で話されていますか?
相手によって話す言語は変わりますね。基本は日本語で会話していますが、「中国語で話した方が早い」と思ったら中国語を使っています。今の職場は先輩と中国語で話せるのもありがたいですね。中国語だと日本語よりははっきり内容が分かるので、困ったことがあれば先輩に相談して、すぐに解決できています。
Q.仕事する上で工夫していることはありますか?
今の仕事は難しい内容が多く、意味が分からない言葉も多いので、「何のための書類なのか?」など、分からないことは都度確認するようにしています。また、難しい内容をお客様に説明する前には、必ず先生や先輩に相談してから話を進めるように心がけています。自分から相談するようにしていますが、大体のことは先輩から先に教えてくださるので、安心して仕事が進められています。
Q.これから日本で働きたい外国人の皆さんにアドバイスをお願いします。
まず大切なのは、日本で働きたい目的を明確にすることだと思います。例えば「日本は給料が高いから」ということが理由であれば、給料が高い会社に就職するべきです。自分がやりたいことを自分で整理して、そこから自分の条件に合った仕事を探した方が日本で働く目的を果たせると思います。
私は日本で働くと決めた時に仕事内容を完全に把握できていませんでした。1社目では「自分の語学を活かして日本で働きたい」という思いが果たせず、今の会社に転職しています。自分の経験から、これから日本で働く皆さんには後悔しないで済むように、目的をしっかり持って就職活動をしてほしいです!
土井えりか
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