コラム

【インタビュー:ユニテックシステム株式会社】就職活動に苦戦! ようやく見つけた会社で自分らしい働き方を

日本の語学学校で熱心に日本語を学び、そのまま日本で就職を希望する外国籍の方も増えている昨今。まだ外国人採用に踏み出していない企業も多い中、外国人にとって新卒での就職活動はどれほど大変なのでしょうか?

今回は、人材管理システムのパッケージ開発を中心に、ミャンマーにも事業部を展開されているユニテックシステム株式会社(以下、UTS)でエンジニアとして働くジョニーロさんにインタビューしてきました!

ユニテックシステム株式会社 レスクシオン・ローレンツ・ジョニーロ・ララップさん

幼い頃より日本のアニメやゲームに興味を持ち、フィリピンの大学を卒業後、日本の語学学校にて日本語を学ぶ。その後、日本の専門学校にてゲームの設計を学び、在学中にコンピューターグラフィックス(CG)に興味を持ち独学で勉強する。日本でエンジニアとしてプロダクトを生み出したいと2年間の就職活動を経て、UTSに入社。現在は、新事業開発本部にて静脈認証のシステム開発を担当。

会社情報

ユニテックシステム株式会社(https://www.uts-corp.co.jp
設立:1986年(昭和61年)10月8日
従業員数:78人(2019年7月現在)

Q.日本に興味を持ったきっかけは何ですか?

幼い頃から日本のゲームやアニメが好きで日本に興味を持ちました。なかでも「スーパーマリオ」と「るろうに剣心」は大好きでしたね! 日本の専門学校もゲームの設計専科を選んで、大好きなゲームのプログラミングを学びました。

Q.フィリピンでは何を学ばれていましたか?

フィリピンには中学校がないので、小学校を卒業すると高校へ進学するんです。フィリピンの大学に入学したのは15歳の時。4年間ITを学びました。大学でITを専攻したのは、ソフトの開発に興味があったからです。子供の頃からパソコンを使っていたので、ITの存在はいつも身近にありました。小学校ではベーシックプログラミング、高校ではHTMLを授業で学んでいました。

フィリピンの大学を卒業後は、もともとゲームやアニメに興味があったこともあり、日本に来ました。日本を選んだ理由には、姉がアメリカに行っていたので自分は別の道を進もうと考えたというのもあります。

Q.来日前から日本語を話せましたか?

いえ、7年前に来日した当時は全く日本語が話せませんでした。日本に来て最初の2年間は語学学校に通って日本語を学びました。お箸も使えなかったので、どこに行くにも毎日スプーンとフォークを持ち歩いていましたよ(笑)

Q.日本語を学ぶにあたって苦労した点はありますか?

日本語は漢字がとても難しいです! 語学学校では毎日キーワードが与えられて、それについて作文を書いていました。例えば、お題が「ゲーム」だったら、ゲームについて作文を書くという感じです。毎日課題をこなすことは大変でしたが、苦労した甲斐あって、日本語を学び始めてから1年で日本語能力試験のN2を、卒業時にはN1を取得することができました!

Q.専門学校ではどのような勉強をされましたか?

専門学校ではゲームの設計専科に入って、ゲームプランニングについて学んでいました。ただ、勉強するうちに設計よりもCGに興味を持つようになって…。途中で専科を変更することができなかったので、CGは独学で勉強しました。

CGは専科ではないうえ独学でしたが、卒業制作ではCGを活用して卒業制作に携わりました! 自分にとってとてもいい経験になりました。好奇心が旺盛なので、興味があることはとことん調べて勉強したくなる性格なのです(笑)

Q.就職活動もゲーム関係の企業を受けたのでしょうか?

専門学校3年から就職活動を始めて、2年間就職活動をしました。受けた会社は30〜40社。就職活動は、ポートフォリオを持ち込んでCGの部門を受けていました。新卒・未経験での採用があまりなく狭き門でしたし、作品数も少なかったので内定をもらうことができませんでした。ポートフォリオを印刷するのもお金がかかるので、就職活動はとても大変でした。

それでも日本で就職しようと思っていたので、CGだけでなくプログラミングの部門なども受けるようになりました。うまくいかずに落ち込んだ時期もありましたが、jopus careerを利用して未経験でUTSに採用してもらえました。 本当に嬉しかったです!

Q.30〜40社!たくさん受けられたんですね。精神的にも辛かったのではないでしょうか?

受けても受けても不採用だったので、本当に辛くて、就職活動以外は家に引きこもる時期もありました。そんな中、「国際情報オリンピック」というイベントがありボランティアで参加したのは良い気分転換になりました。

僕はデンマーク人のチームをサポートしたのですが、たくさんの国の方々と触れ合う機会がありとても刺激を受けました! 就職活動に疲れていましたが、また別の環境でたくさんの人に触れてやる気が湧いてきたので、参加してすごく良かったです。

Q. UTSで仕事をしてみて、今はどのように感じられていますか?

上司がとても優しい方なので、安心して働いています。入社前はもちろん不安もありましたが、僕に分かりやすいように説明しながら仕事を進めてくださるので特に困っていることもありません。今は目の前の仕事を一生懸命頑張るだけなので、不安なども感じていないですね。

Q.入社してから失敗したことがあったそうですが、どのような失敗だったのでしょうか?

あるサービスをリリースする前に追加しておかなければならない箇所がありましたが、それが漏れていたんです。事前に気付いて上司に相談したので大事には至らなかったのですが、本当に焦りました。

それでも上司は感情的になって怒らずに、「こういう風にして欲しい」とアドバイスをしてくれました。内心叱られるのではないかとドキドキしていましたが、いつもと変わらない優しい対応をしてくださり、安心しました。いつも僕に優しく教えてくださるので、上司のことを尊敬し、とても信頼しています。

Q. 仕事以外の時間をどう使われていますか?

仕事は17時半に終えて、20時に寝ます。そして、朝の2〜3時に起きて興味があることを勉強します。歴史や哲学の本を読んだり、YouTubeでドキュメンタリーを観たり。あとは天文学も好きですね! 好奇心旺盛なので、興味を持ったことはジャンルを問わず調べたり勉強したりしています。新しい技術にも興味がありますし、週末や空いている時間を使って学んでいます。興味あることを知るのは楽しいので「勉強」という感覚はないですね。

Q.起床が早すぎて、朝というよりは深夜ですね!(笑)社員の方とのコミュニケーションはどうされていますか?

この時間より遅く起きると「寝過ぎてしまった」と感じてしまうんです(笑)
会社の飲み会などの集まりは自由参加なので、僕はあまり参加しないです。でも、参加しないからといって居心地が悪くなるわけでもなく、周りの皆さんにはよくしてもらっています。社内に音楽が趣味で楽器を演奏される方がいることが分かったので、僕の趣味のひとつであるバイオリンを一緒に演奏してみたいですね!

Q.最後に、これから日本で仕事をしたいと考えている外国籍の方にアドバイスをいただけますか?

自分の国から離れて仕事をすることに不安を感じる人は多いと思います。
僕は哲学も好きで本を読んだりもするのですが、「不安は将来のことを考えすぎて生まれる感情。将来と過去は現在のためにあり、現在頑張っている目の前のことを一生懸命頑張れば絶対に後悔しない」という考え方を大切にしています。

慣れない国での生活は体力が必要ですが、不安にとらわれることなく、今抱いている気持ちを大切にして、まずは行動に移していきましょう! 僕も就職活動では苦労しましたが、今ではとても楽しく仕事ができています。行動に移せば道は開けると思いますよ! うまくいかなくて煮詰まった時は、ボランティアに参加するなど気分転換がオススメです。

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土井えりか

前職では転職Webサイト運営会社の人事部にて新卒・中途採用を担当。転職後、カー用品メーカーで女性向け商品の新事業開発に携わる。現在は子育てと仕事の両立を考え、会社に所属せずフリーで活動中。二児の子育てをするワーキングマザー。