文部科学省と出入国在留管理庁は6月11日、東京福祉大学で多数の留学生が所在不明となっていることを受け実施した実地調査等の結果、問題がさらに悪化することを防止するため、当面、同大学に新規に入学する学部研究生の留学受け入れを停止すること、そのほかの留学生への審査を厳しくすることを発表しました。同大学には、適正化に向けた改善指導を行うとともに、改善計画の提出を求め、今後の実施状況をフォローアップ方針です。
そして、両省庁はこの問題を受け、同日、留学生の在籍管理の徹底に関する新たな対応方針も発表しました。現在、大学や専門学校への留学生のなかに、所在不明者や所在不明を理由とした除籍者が多く発生しており、不法滞在、不法就労等につながっている実態が懸念される課題があることから、両省庁はこの課題にそれぞれ連携して対応します。
まず、文科省は、各大学等への通知により在籍管理の徹底を再要請すること、退学者・除籍者・所在不明者の定期報告の実施方法の見直し、所在不明者等の発生状況に応じて在籍管理状況を調査することの3点を実施します。これらの改善指導の結果、改善が見られない場合は「在籍管理非適正大学」として、法務省に通告します。
その後、出入国在留管理庁において、「在籍管理非適正大学」に認定された大学や、3年連続で「慎重審査対象校」とされた大学等については、改善が認められるまでの間、留学生に対して在留資格「留学」を与えないほか、大学等名を文部科学省と同時に公表するなどの措置をとる方針です。
両省庁の調査によれば、東京福祉大学の所在不明者の割合は2016年度が留学生の10.1%にあたる305人、2018年度には16.0%にあたる823人に増加しており、また、授業開講当初から学部研究生の94人が欠席し、そのうち66人が所在不明だったということです。
留学生の多様な活躍が期待される一方で、留学生制度全体の信頼が失墜しないよう、適切な対策が講じられることが期待されます。
【参照ページ】外国人留学生の在籍管理の徹底に関する新たな対応方針等について:文部科学省
jopus編集部
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