グローバル採用で重要なのは日本語力とコミュニケーション力。オリジネーター「リュウカツニュース」Vol.2発表

外国人留学生就職情報サイト「リュウカツ」を運営し、理工系の外国人留学生の人材紹介を強みとする株式会社オリジネーターは9月4日、外国人留学生の日本における採用動向を伝えるレポート「リュウカツニュース」のVol.2を発表しました。今回のレポートでは、13年にわたり外国籍人材の就職支援に携わってきた同社が、語学領域における習慣化をテクノロジーで支援するWizWe社と共催し、企業の採用担当者向けに行った「外国籍人材に必要な日本語レベルと教育の勉強会」でのポイントを伝えるレポートとなっています。

レポートによると、職種によって求められる日本語レベルが変わるといいます。文系に多い営業職やサービス業の店舗関連職、コンサルティングなどのお客様との折衝やクレーム対応が必須となる職種においては、適切な敬語や言葉遣いが求められる傾向にあり、特に高単価な商品を扱う仕事においては、ネイティブレベルでないと務まらないケースもあります。一方、理系に多い技術職やエンジニア職では、社内・社外を問わず共通の用語が使われるケースが多いということもあり、文系職種ほど高い日本語レベルは求められません。そのため、理系の場合、英語によるサポートがある環境では、日本語レベルがN2（中級）に達していなくても業務をスムーズに行えているケースもありますが、基盤として最低でもN4（初級）レベルの日本語力を身につけることは非常に重要です。

そうした現状を踏まえてレポートでは、外国籍人材の受け入れにあたって、企業側の採用担当者が意識しておかなくてはならない重要なポイントを5つ紹介しています。

1つ目のポイントは、社内の「共通言語」をしっかりと共有することです。日本語レベルの目標設定をN2とした場合、研修ではN2の試験に出る用語を重点的に学習することになりますが、実際の仕事ではあまり使わない用語などもあるため、N2レベルに到達したからといって、仕事がスムーズにできるとは限りません。どんなに高い日本語能力を持っていたとしても、外から採用された人材には理解することが難しい社内独特の略語や、業界特有の難しい用語などの「共通言語」をきちんと共有することは、仕事をスムーズに行えるようにするという観点で非常に重要です。

2つ目のポイントは、外国籍人材にとって漢字はハードルが高いということです。流暢に会話ができる人であっても、漢字が読めるとは限りません。メールの漢字が読めないために返信することができず、送信者との関係が悪くなってしまったという事例もあるそう。文書やメールでは分かりやすい日本語の表記をするなど、漢字力を補う周囲の配慮も必要不可欠です。

3つ目のポイントは、グローバル採用の目的の明確化と中長期のキャリアプランを提示することです。グローバル採用で外国籍人材を採用すること自体が目的化してしまっているケースでは、採用企業も外国籍人材も中長期のキャリアプランを描くことができず、結果として企業に定着できず、早期退職につながってしまいます。外国籍人材の採用を成功させ、長期にわたって企業に定着してもらうためには、グローバル採用の目的を明確にすることと、中長期のキャリアプランを持っておくこと、そして、それをきちんと外国籍人材にも伝えることが重要です。

4つ目のポイントは、語学力とコミュニケーション力は違うということです。語学力が高いからといって、コミュニケーション力も高いとは限りません。完璧主義で文法を気にしすぎてしまい、間違った日本語を使いたくないがために、完璧な日本語が話せるまで一切日本語を話さないというケースもあります。しかし、そうした態度は周囲から孤立してしまう要因となる可能性があります。そのため、周りが積極的に声をかけるなどして、話しやすい環境を整えることが必要です。

最後のポイントは、能力開発の観点からも日本語力とコミュニケーション力は必須であるということです。人材の能力開発は責任を持つ仕事の大きさや質で規定されます。日本語ができないと、そもそもの問題として仕事を任せてもらえないということもありえます。そのため、外国籍人材の能力開発という観点でも、社内で適切なコミュニケーションがとれるだけの日本語力と、関係者との信頼関係を築けるコミュニケーション力を養う教育が必要です。

企業の採用担当者向けのセミナーの中でも日本語能力は重要なポイントだと伝えられているとおり、日本企業に就職する場合、N2以上の日本語能力を求められるケースが多く、日本語力の高さは就職にそのまま結びつきます。日本企業への就職を目指す方は、日本語力を高めることが重要という意識を持って、日本語の勉強に取り組みましょう。

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