日本で働いている外国人の皆さんは、日本人の上司や同僚が話す日本語が聞き取りにくいと感じることが多いではないでしょうか。一つの言葉が聞き取れなかったら、その後の会話の内容が全部分からなくなり、仕事に支障が出る場合があります。また、職種によっては日本語で電話する必要があります。電話で話す時には相手の表情がわからないため、必要とされる日本語のリスニング能力が対面で話す時よりも高いです。今回は、日本語のリスニングを上達させる方法を3つ紹介しますので、ぜひ参考してみてください。
1.書き取り練習
書き取り練習とは、聞いた日本語をそのまま書く練習方法です。
1.音声コンテンツの一つの文を聞き、音声をストップして、聞いた内容をそのまま紙に書いて、さらにその次の文を書きます。
2.一つの文章を最初から最後までに書き取りができたら、音声のテキストをチェックして、自分が聞き取れなかった部分を確認します。
3.繰り返し行います。
4.1~3のやり方に慣れたら、ストップなしで一つの文章を聞きながら要約を書く練習をしてみましょう。書き取り練習を通して、自分のリスニングが聞き取れないところを見つけることができます。
書き取りの練習をするテキストは、NHKのニュースがおすすめです。NHKニュースで使われる日本語が分かりやすく、発音もきれいです。また、ニュースを聞くことで、日本社会に対する理解が深まります。
NHKのニュースは、外国人向けのやさしい日本語バージョンと、日本人向けの難しいバージョンがあります。まずはやさしい日本語バージョンからはじまめて、慣れれきたら日本人向けの難しいバージョンを挑戦してみましょう。
NHK以外にもYoutubeで「日本語 聞き取り」と検索すると動画をあげているアカウントがあるので、平行して使うと良いでしょう。
2.字幕なしで日本のドラマや映画鑑賞
日本語の映画やドラマをみることで、日本語が楽しく勉強できます。ただし、効果的に勉強するためには、自分の母国語の字幕でみないことがポイントです。まずは、日本語の字幕をつけてみてみましょう。日本語の字幕があると、聞いた日本語の書き方をリアルタイムで確認できるというメリットがあります。日本語の字幕が慣れたら、字幕なしでみてみましょう。その場合、分からない言葉が出てきたら、メモして覚えていくことが大事です。
映画やドラマはたくさんの種類がありますが、特に日本の職場を描く映画やドラマがおすすめです。職場を描く映画とドラマに使われる日本語の言葉遣いや話すスピードは、実際のビジネスシーンで使われる日本語に近いだけではなく、社会人としての知識が身に着けられます。逆に、アニメで使われる日本語は、日常生活では使われない言葉遣いが多いため、ビジネス日本語の勉強にはあまり役に立たない恐れがあるので、おすすめはしません。
日本語日常会話の人におすすめする日常生活を描くドラマ
『逃げるは恥だが役に立つ』:仕事と日常生活の会話が学べるドラマ
『やまとなでしこ』:フライトアテンダントの恋愛ドラマ
『花より男子』:アルバイトシーンが多い学園ドラマ
日本語上級者におすすめする職場ドラマ
『リッチマン、プアウーマン』:ITベンチャーを背景とする恋愛ドラマ
『ハケンの品格』:派遣社員が活躍するドラマ
『下町ロケット』:中小企業がロケットを作るドラマ
『半沢直樹』:銀行員が不正を暴くドラマ
3.日本語の音声コンテンツを聞き流す
聞き流しは、日本語の音声コンテンツを聞くだけという勉強方法です。分からない言葉が出てきても、気にせずに聞き流しても大丈夫です。音声によるコンテンツの全体の意味を理解するためにどうしても理解が必要な言葉だけ調べていきましょう。電車に乗る時や、家事をしている時でも手軽に勉強できるというメリットがありますが、効果を出すには大量に聞く必要があります。具体的に1日約1時間聞き流しをすると効果が出始めるでしょう。
聞き流しをする音声コンテンツは、日本語のラジオやオーディオブックがおすすめです。聞き流しは、注意力がなくなってしまったら、意味を理解せずにただの環境音になってしまうため、自分が興味をもっている音声コンテンツを選ぶことが大事です。ラジオが聞けるwebサイトのradikoやYouTubeのラジオチャンネル、オーディオブックが聞けるアマゾンオーディオブックなどのサービスを使い、自分が好きなコンテンツを探してみましょう。特に、一度読んだことがある小説のオーディオブックを聞くことがおすすめです。
音声コンテンツの日本語の意味がほとんどわからない場合の聞き流しはあまり勉強に役に立ちません。6割~8割ほど聞き取れるコンテンツが一番効果的です。日本語のレベルがまた低いなら、いま勉強しているテキストの録音や、日本人のこども向けのコンテンツを聞き流してみましょう。
【番外編】試験対策には聴解分野の対策問題集
日本語の資格や試験の準備をしている場合は、聴解分野の対策問題集で勉強することがおすすめです。ただし、対策問題集に出てきた日本語の言葉遣いは日常生活では使われない言葉遣いが多いです。そのため、対策問題集をやる目的はリスニングをあげるよりも、あくまでも試験の問題に慣れることにしましょう。リスニングの向上を目指すなら、対策問題集だけではなく、本記事で紹介した方法を使って勉強することが大切です。
まとめ
今回は、日本語のリスニングの上達方法をいくつか紹介しましたが、そのなかでは書き取り練習が一番大事な練習で、ほかの方法はあくまでも書き取り練習の補足です。日本で働いているといっても、日本語を聞くチャンスが限られているケースがあるため、毎日少しずつ、自ら日本語を聞く量を増やして、リスニングを上達しましょう。